林業ネタ part2 (林業就業支援講習 その②)

工場長

2010年01月05日 13:07


(その①はココ)


ってことで、その②です。



まず、講習の序盤は座学だったのでソコで学んだことを書きます。

はっきり言って暗い話が多いです。



けど、コレをそれなりにしっかり書かないと、

自分の趣味以外の私生活をさらけ出してまで、

ブログに書く意味がないので、ぶっちゃけて、

キレイごと抜きで書こうと思います。



とは言っても、、、

教えてもらったこと全部をそのまま書いていたらキリがないし、

堅い話ばかりになってしまうので、

私が特に印象に残った話をピックアップしていきますデス。

そのピックアップした項目ごとに、、、

かなり脱線もすると思いますがご了承下さいませ。





■林業の現状

 まぁわりと有名な話ですが、産業として成り立っていません。

 なんで成り立っていないかというと、木の値段が安くなり過ぎているからです。
 山から木を切ってきて麓に降ろしてくると損をします。。。

 その値段の下がり具合は凄まじいもので、
 1立方メートル当りの山元立木価格(山に立っている木の価格)は、、、

 1970年 13168円
 1980年 22707円
 1990年 14595円
 2000年  7794円
 2008年  3164円

 と、40年前の1/4でございます。。。

 切るだけ損ですねぇ。。。

 ってことは、、、
 林業の事業体(林業の会社や組合)に安定した仕事が入ってこなくなります。
 切らないんだから、植えないですしね。

 林業界はよく、、、
 「人手不足な上に高齢化が進んでいる。」
 と言われます。それは事実なんです。

 けど、その原因は、、、

 事業体に安定した仕事が来ない。または単価が安い。
  ⇒年間で人を雇う余裕がない。
   (ちゃんとした求人が少ない。)
   ⇒トーゼン若い人間が就職しない。したくても出来ない。
    (家族を養えませんからね。)
    ⇒そりゃあ、高齢化が進む。
     (年金貰っている人が多いので季節労働でなんとかなる。)

 当たり前の構図です。


 奈良県の林業就業者の年齢別の内訳(2005年)ですが、、、

 ~29歳 30~39 40~49 50~59 60~69 70~

  4%    9%    16%   24%   29%   18%

 異常な年齢分布です。
 一般の職場で“その年代大事っ!!”ってトコが少ないっすね。
 このままで行った時、20年後は完全にアウトですな。



 ちょっと話が戻りますけど、、、

 あんなに低くなった立木価格なんですが、輸入材のほうがまだ安いです。
 なら、関税高くしたらいいじゃんと思いますよね。
 国内の林業をマシにするために。

 けどほら、輸入って、、、
 「お前のところの車買うから、コッチの牛肉と木を買えや。」
 とか言うことで成り立ってるらしいじゃないですか。
 国同士の取り決めで。

 んまぁ、金が欲しいから、、、
 あっちの産業を立てて、そっちの産業を潰しているんでしょう。
 日本って国が見えてきますよね。
 問題視しながらも食糧自給率が全然上がらない国ですから。

 ちなみに木材の自給率は平成20年で約24%です。。。

 ええ。。。こんなに山ばっかり、森林ばっかりの国なのに。。。
 ええ。。。切って使える木がアホほどあるっていうのに。。。





■林業と環境問題

 コレをお題目に挙げることによって、、、
 仕事の増加ということでは林業は少しマシになるかも知れません。

 地球温暖化問題で日本では“森林経営”によって、、、
 CO2を削減していいことに京都議定書でなりましたから。
 要はちゃんと間伐して健全な森林を保つようにしようってことです。

 ってことで、、、今の森林の現状を書きます。

 まぁダメなんですよ。
 上に書いたように木を切っても金にならないなら、
 誰だって放っておきますよね。

 林業ではある程度密集して木を植えます。
 そうして育てて悪い木を徐々に間引いていき立派な木を育てます。

 その間引くことを間伐と言うんですが、
 (間伐のことは間伐実習のくだりで詳しく書きます。)
 間伐しないで放っておくと山がどうなるかというと、、、

 木が密集したまま育って放置される。
  ⇒地面に日光が当らなくなり下草(雑草)が生えなくなる。
   ⇒下草が枯れて堆肥になるというサイクルがなくなる。
    ⇒土が痩せる。
     ⇒不健全で密集した林が出来る。
       山が保水出来なくなる
       土砂が流出しやすくなる。

 こんな感じです。

 ココは登山ブログなので山ノボラーが多いと思います。

 なので、書きますが、、、
 山を歩いていると、イイ天気なのにも関わらず、
 夕方のような暗さの林に入ることありませんか??
 そういうところはだいたい放置されている林です。

 あと、登山道では無いのにも関わらず、、、
 木の根が露出しちゃっている林も見たことないですか??
 アレは土が痩せちゃって木の根が出ちゃってるんです。

 今度、山に行った時に見てみて下さい。


 と、林業から環境問題を見てますが、、、
 海の向こうで切った木を遠路はるばる船に載せてきて持ってきて、
 それを港からトラックで山の製材所(製材所は山に多い)に運び、
 製材したものを街に運ぶ。
 って、、、物凄い石油燃料使ってますよね。。。
 でも、安いから良いんです。。。この国は。。。
 そんな国が世界の環境問題を語っておりますよ。。。ええ。。。

 国のあり方とか国民性とか、、、
 そういう根本的なところで環境問題的にアウトな感じだと思うのは、、、
 俺だけっすかね。。。


 おっと脱線し過ぎですね。

 まぁ、今の日本の森林ってのは間伐して健全にする。
 ってのが、重要なんです。

 それでも、、、間伐=森林破壊、、、
 と思っちゃってるアレな人も未だに多いらしいので、
 森林組合なんかは間伐の重要性を必死になって訴えています。

 けど、間伐しても山主は損をします。
 間伐材もトーゼンながら降ろしても損しますから。
 捨て切り間伐といって、切ったら山に放置しておくしかありません。

 なんか、、、だんだん切なくなってきたでしょ。。。

 けど、ちょっとは国から助成金が出るようになったらしいです。





■林業の労災

 林業の仕事というのは危ない作業のオンパレードです。
 
 鎌も鉈の刈払機もチェーンソーもすべて刃物ですし、
 倒れてきた木に当ったらトーゼンただでは済みません。
 
 っで、、、やっぱり労災も多いです。
 
 死傷年千人率(休業4日以上の怪我や死亡)は平成18年の統計で
 
 全産業  2.4% 
 製造業  3.2%
 建設業  5.7%
 造船業 10.1%
 漁業   15.9%
 林業  26.3%

 んで、手元にある資料が奈良県のものばかりなので、
 奈良県を例に取りますが、奈良県の2005年の林業就業者数は1060人です。
 この年の奈良県の休業災害(休業4日以上の怪我や死亡)は72人です。

 ハンパないっす。。。
 100人働いていたら7人は年に1回大怪我してるんです。。。


 その話までで既に凹んでいたんですが、、、
 労災事例でおっかない話を聞いたんで一つだけ紹介します。

 ※グロい話がダメな人は読まないほうが良いです。

 山で下刈りの作業中のこと。
 (下刈りについては下刈り実習の時に詳しく書きます。)

 木の上の方のつるを刈払機で切ろうとしたところ、
 刈払機の刃が跳ね返る(キックバックという現象)。
 刈払機が自分に向いて落下する。
 自分の左腕を切り落とし、そのまま刈払機は腹部にめり込む。
 エンジンを止められず、スロットルも開いたまま。
 同僚に発見された時には内臓がほとんど出ていて、
 しかも刈払機のエンジンは止まらず動いたままだった。

 当然の事ながら死亡事例です。

 悲惨な事故ですが、林業の現場の現実です。





と、こんな感じでですね。

講習の最初の何日かは座学でこんな暗い話ばかり聞かされました。

けどまぁ、現実なんでしょうがないですねぇ。



やっぱり私も、、、

「林業、、、ヤメよっかな。。。」

と、トーゼン思いましたよ。。。はい。。。



けど、この講習がすべて終わった時に、、、

「やっぱり林業やりたいなぁ~~~。」

と、思ったんだから不思議なものです。



んまぁ、、、

自分でも何でなのか、ちゃんとはわかんないんです。

この話を書き進めていくうちに解ってくるのかも知れないですね。





次は暗い話も少なくなり、、、

少しは写真も撮った実習編になります。



今回は字だけのそっけない記事(しかも駄文)に

お付き合い下さってありがとうございます。





(その③に続く。。。)







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