厳寒期テン泊訓練(単独テン泊) 10/11/27~28
今回はピークを踏むのが目的では無かったので、
いつもの記録とは書き方を変える。
とある稜線にて、、、
一晩をテントで過ごした話に特化する。
ただ、、、
道具のインプレなどの役に立つ話ではない。
バカな男の恐怖体験が主な話だ。
まだ少し家に居ることが信じられない気がする。
よく帰ってきたなぁと。
------
冬用外張りが家に着いた。
その数日後に泊まり山行の許可が下りた。
冬の縦走をにらんで、、、
・雪山テン泊フル装備での行動
・冬用外張り+ナンガ、等、今の装備で大丈夫か
・テントで風に吹かれるとどんなもんか
この辺りを感じて来ることにした。
行く場所を散々迷っていたが、
夏に目星を付けていた場所があったのを思い出した。
稜線ではあるが季節風も防げそうな、そんな場所。
慣れた道で稜線に上がる。
重い。
さすがに重い。
日帰りでは3時間半で来られる所が、5時間以上。
まぁ、そんなもんだろう。
先ほど、某サイトを見たら、、、
山友が二人、反対側から上がっていたようだ。
惜しいことをした。
周りの山々も雪が付いている。
けれど、、、
今日の目的はこういうことじゃない。
とある場所へ行こう。
無雪期でも人が少ない所。
しかし、一人分のトレースがある。
同じような人が居たのかな。
設営完了。
大丈夫なハズだ。
結露が一瞬で凍る。
寒い。
夜はどうなるのだろう??
いつもと違い時間はある。
近くのピークまで行き写真を撮りまくる。
こんなことは滅多に無い。
最高だ。
メシを喰い、、、
また、近くのピークへ。
風は微風。
ただ、問題は今日の夜だ。
低気圧が東北を通過する予定。
その低気圧から南に前線が伸びる。
コレがどう影響してくるかだ。
大荒れとまではいかないだろうが。
寒いがナンガに包まっていると徐々に暖かくなる。
ただ、シュラフから出している顔が痛い。
鬱陶しいが目出帽をかぶる。
19時頃、ウツラウツラし出す。
まだ、風は微風。
最初に目覚めたのは23時過ぎ。
風が出てきたようだ。
ただ、西風らしくテントにあまり影響は無い。
風に煽られると結露が落下してくる。
テント内でも雪が降るんだな。
風音がうるさいなと思いつつ、段々音にも慣れてくる。
ウトウトを繰り返す。
1時過ぎ、テントが煽られて起きる。
西風から少し北に変わってきたようだ。
しかし、テントは安定している。
大丈夫だろう。
2時頃、テントが何者かにいきなり殴られる。
ウトウトしていたから本気で襲われたかと錯覚する。
前後左右から強風が吹きつけてくる。
テントの撓みが尋常じゃない。
これはマズイ。
ポールを必死に掴む。
なんで西側から吹いてくるのだ??
東側は崖だ。飛ばされたら終わりだ。
風が巻いているのか。
側面の弱い所を順繰りに殴られる。
ポールが折れそうだ。
必死でポールを掴む。
一時間経過。
風は徐々に強くなる。
写真を撮る余裕はなくなる。
ポールを握る手が痺れる。
少し投げやりになる。
このまま寝てしまって朝起きれば好天なんじゃないか。
ふて腐れて寝ようとしたところに突風が襲い、少しテントがずれる。
我に返りポールを支える。
4時、目覚ましが鳴る。
止めるのも一苦労。
どうすればいい。
南下した前線が通過するのは、7時とか8時とかだろう。
その時間までこのままでいるのは無理だ。
撤収するか??
どぉやって??
テントを置いて行くのか??
イヤだ。全部持ち帰る。
恐る恐る外の様子を見る。
風だけじゃない。吹雪だ。
テントに当るのは雪煙じゃなかったのか。
もうダメかも知れない。
朦朧とした頭で縁起でもないことを考える。
アホか。
何を考えている。
すべて持ち帰る方法を考えろ。
風の合間を見てテント内のモノをすべてザックに詰める。
サブバックは空にする。
テントの中で凍った靴を履く。
決意するように無理やり写真を撮る。
さて。
行くぞ。
頑張るのだ。
ザックをテントに入れたまま半身を外へ。
その状態でポールを外しテントを倒す。
這い出る。
這いつくばりながら支点を外す。
そして、ポールを抜き取る。
サブバックに詰め込む。
たまに体が、、、
テントの上からずれて、テント飛んで行きそうになる。
中のザックごと飛ばされたらすべて無くなる。
全身で覆い被さり徐々に畳んでいく。
なんとかサブバックに入れることが出来た。
撤収完了。
ああ。。。
ホントに良かった。。。
全部ある。。。
風の様子。
ギリギリ立っていられるぐらい。
風速20mってとこか。
ふん。
なめるなよ。
富士山はもっとすごいぞ。
テントから出てしまえばコッチのモンだ。
荷物を持って風が来ない所まで移動。
ピッケル&シャベルをザックに括りつけアイゼンを着ける。
昨日のトレースは埋まり始めている。
ゆっくりと近くの小屋まで向かう。
慣れた道でよかった。
小屋に着き荷物を降ろすとドっと疲れが出てきた。
タバコばかりふかす。
気を取り直して作ったラーメンの旨かったこと。
ああ。
ホントによかった。
ただ、小屋から見た朝日は最高にキレイだった。
なんとなくありがとう。
------
こんなに反省ばかりの山行は初めてだ。
今回失敗したあらゆることをもう一度学び直そう。
確信が持てるまでは厳寒期のアルプス長期単独縦走など無理だ。
今の俺では力量が足りない。
1,2泊を繰り返して実力を付けていくしか無い。
今回、思い知らされて良かったと正直に思う。
関連記事